日時:2007年1月9日(火)
場所:WAOクリエイティブカレッジ 講義室
映画「シュレック2」や「マダガスカル」をはじめとした数々の大ヒット映画を制作しているDreamWorks Animationでプロダクションイラストレーターとしてご活躍中の伊藤頼子さんをお招きして行われた公開特別授業をレポートします。
日本に帰国することが多くはない伊藤さんのセミナーとあって在学生、既にクリエイターとして活躍中のWAO修了生、将来海外で働きたいという希望を持つ一般参加者・・・と、会場は100名近い聴講者で満員となりました。「メイキングを中心に色々話したい。」という伊藤さんの言葉通りに、映画「マダガスカル」で実際に使われたCG映像などの資料をもとに、プロダクションデザインの流れや作品秘話を次々と展開。この貴重な体験に、参加者は「一言も聞き漏らすまい。」という意気込みをもって真剣に見入っていました。
授業はまず、伊藤さんが海外へ進出されたきっかけから始まりました。 もともとアメリカのイラストレーションのクオリティの高さに憧れていて、「いつか大陸へ、という希望をもっていた。」という伊藤さんは、短期大学卒業と同時に渡米。そして自力で学校探しをスタートされたそうです。
「進学先が決まり入学するも、膨大な宿題、授業、そしてアルバイトとの両立で忙しく、自由に使えるお金も決してたくさんあったわけではなかった。常に時間がなくて悔しい思いもし、寝る時間を削って課題を仕上げる。それでも学校で受ける授業はどれも興味深く、特に楽しいと感じたペインティング、ドローイングの講座はたくさんとりました。大好きな絵を描いていた時間は本当に楽しかった。そして授業を積み重ね、がむしゃらに取り組んでいく中で“ストーリーのある絵が良い”ということが感覚的に分かってきました。」
その後、伊藤さんの「日本の文化を表現した絵」が、ニューヨークの有名な絵本の会社で原作を出版している方の目にとまったことをきっかけに、絵本の仕事をGET。仕事が決まりかけた時は“このチャンスを逃してはいけない!”と、和の要素が含まれるイラストを懸命に描き上げたそうです。
「今、このチャンスを逃してはならないと感じた。」という言葉に、会場全体がはっとした空気で包まれました。また「現在は絵本の仕事からは遠ざかっているが、将来再開したい。」との精力的なお話もお聞きすることができました。
続いて話はDreamWorks Animationでお仕事をされるようになったきっかけから、実際手掛けた作品の紹介へと移ります。
入社のきっかけは、学生時代の友人が勤務しているドリームワークスを訪問したこと。そこでドリームワークスが人材を募集している、という話を聞き、即応募。課題、作品を提出。その時も「私はここで働ける。」という直感があったそうです。 「仕事で一番楽しいと感じるのは、自分で世界を想像して絵をデザインしているとき。また、自分の描いた作品をディレクターに気に入ってもらえたり、“とにかくやってみろ”という形で仕事をさせてくれる環境に非常に感謝しています。」
映画「マダガスカル」で“森の背景画”を担当するにあたり、カメラを抱え、葉っぱから幹に至るまでたくさんの木の写真を撮りためていったそうです。 「様々な木のデザインを考えることが楽しくて、そして楽しいと感じていたからこそ、120%の力を発揮することができました。また、絵本の仕事に携わっていた頃から、感じたことを正確に伝えるために普段からリサーチは欠かさず行っていました。」
そして伊藤さんは2005年第33回アニーアワード「マダガスカル」で長編アニメ、プロダクションデザインの部分で見事ノミネートされます。「これも、今振り返ってみると、自身が楽しみながら仕事に取り組んだ結果がついてきたものなのだな、と感じています。」
セミナーの後半にはハリウッドで仕事に携わることのメリット、デメリットについてのお話もいただきました。「ハリウッドの良いところは、やはり世界中からトップクリエイターが集まっていること。また自らが手掛けた作品を世界中の人に評価してもらうことができること。しかしながら常に向上していなければ、いとも簡単に首が飛びます。いつどのようになるか常に分からない状況です。」
「私は欲しいと思ったものがすんなりと手に入るタイプではなかった。それが自分自身で分かっていたからこそ、その場その場を確実に乗り越えようと努力し、欲しいものを手に入れようとしてきました。」といった伊藤氏の言葉が非常に印象的でした。
最後にカレッジ生に向けては、「好きだったらとにかく挑戦し続けてください。そしてたくさんの芸術家に影響を受けてください。そのうちにそれらが自分の中で消化され、自分のものとしてでてきます。頑張ればその分だけかえってきます。自信は後からついてきます。」と熱いメッセージがおくられました。
セミナー終了後、カレッジ生からは、「今回のセミナーを聞いて広い視野でものごとを見ていきたいと素直に感じました。」「伊藤さんから“楽しかった、興味があった、嬉しかった・・・”などポジティブな発言がたくさん飛び出したことが印象的でした。私も常に前を向いていきたいと感じました。」との声が聞かれました。
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