日時:2007年10月20日(土)
場所:WAOクリエイティブカレッジ 講義室
士郎正宗(原作)×ジョン・ウー(プロデュース)×荒牧伸志(監督)、そして音楽監修は細野晴臣といった世界中が注目するトップクリエーターが集結した映画『エクスマキナ』。10月20日(土)の劇場公開当日、WAOでは公開記念イベント『EX MACHINA-エクスマキナ メイキングセミナー』を開催しました。
講演者は、CG制作を手がけたプロダクション(株)デジタル・フロンティアのCGディレクターを務めた大塚氏と川村氏。川村氏はWAOの本科の第一期生。久しぶりの再会とその活躍ぶりにスタッフも開演前から興奮気味。会場には未来のクリエイターを目指す現役カレッジ生や一般の方、企業の方なども多数参加しました。 『エクスマキナ』のCG制作を手がけたデジタル・フロンティアは、フル3DCGの映画製作において、日本を牽引してきた会社。前回の『アップルシード』に引き続き制作を手がけたこともあって、更なるCGのクオリティの追求と制作技術の向上など、『エクスマキナ』に対しての思いと並々ならぬ努力があったそうです。
まずは、『エクスマキナ』を制作するにあたっての映画制作全体の大枠、完成までの仕事の流れについて、図解でわかりやすい説明がありました。 大まかには、「シナリオ完成⇒絵コンテ⇒アニマティクス⇒コンポジット⇒完成」の5段階がフローとしてあるとのこと。さらにそれぞれの段階で、発生する作業が細分化していきます。
実は、『エクスマキナ』の企画自体は2005年からスタート。最初は、シナリオ開発をしつつ、2Dのデザインが決まった時点では、川村氏を含め数名のスタッフでキャラクターやメカ、背景をコツコツ作ったそうです。そして、絵コンテにより物語の世界観が具体的になった時点で、CGに関わる人数も増えていきました。パイロット版で世界観が表現できているかどうかを確かめながら、作業の効率化を図るために、キャラクター班(登場する動きのあるものについて制作する班)と背景・エフェクト班(背景、シーンをより印象付けるための効果をつける班)にわかれて作業を進めていったそうです。
メジャーな作品の制作工程も、自分たちの作品づくりも実は全体の流れ(ワークフロー)を把握して、効率的に進めていかないといけないことを、カレッジ生は実感したようです。リアルな制作現場のどの場面で、どういうことを行なっていくのか、メモを取りながら熱心に聞き入っていました。
『エクスマキナ』では、前回の『アップルシード』と同じように、アニメのような質感(トゥーンシェイダー)で描かれています。肌などの微妙な質感をより追求するのと同時に、今回は演出に力を入れ、キャラクターの感情を豊かにするためのフェイシャルアニメーションを徹底させたそうです。モーションキャプチャー(顔や体にキャプチャーをつけ、それをデータ化するための道具)でリアルな人の動きを追求し、よりダイナミックで魅せる演技をさせるために、手付けで細かく修正を行なっていきました。特に圧巻だったのは、戦いのシーン。鏡張りの部屋の中での戦闘シーンは、鏡への映り込みや迫力ある動きの表現に苦労したそうです。しかも、時間や演出の関係で、実際には使われなかったカットもあるとのこと。ここからも、制作のクオリティに対する追求の姿勢がうかがえます。
会場から思わずため息が漏れたのは、『エクスマキナ』に出てくる都市(オリュンポス)の全体図。広大で複雑、かつ物語の世界観に多大な影響を与えるこの都市は、多くのシーンに登場する設定なので、非常に多くの時間を費やしたそうです。もちろん、ただ作るだけではなく立体感や遠近感を出すため、ビルの高さや道路の幅、橋の長さや距離など、美術監督や背景班で何度も話し合い、作り込んでいったそうです。
さらに実際のデータで見せてもらって興味深かったのは、キャラクターと背景、それぞれにかけるエフェクト効果。例えば、炎に包まれるシーンは、煙や炎、光の当たり具合が微妙に変化します。ひとつのシーン(その場所で起こっている出来事)を見ている人に印象深く伝えるために、全体的な色味・キャラクターや物、背景の明るさ、ピントなどを調整し、空気感を作り込んでいます。
最後に、ディレクターとしてプロジェクトを動かし、数々のクリエイターを見てきた大塚氏と川村氏に、業界において「欲しい」と思う人材についてお話を伺いました。 「オペレーションは大前提」「時間が決められた中で、ソフトを使ってどれだけの作業ができるのかを常に考えられる人」と話してくれた上で、さらに興味深かったのは、「コミュニケーション能力のある人」という言葉でした。例えば、花ひとつとっても、人によって考える花の形、色が異なります。それを作ることになったとき、プロジェクト内で、制作する「花」の共通認識があるかが大切とのこと。
クリエイターとして仕事をするときは、常にプロジェクトで動くことになります。コミュニケーションとは、単に「話がうまい」ということではなく、作るものの目的、見せ方をプロジェクト内でどれだけ共有できるかが、作品そのもののクオリティを上げることになるとのことでした。
今回の『エクスマキナ』セミナーでは、スクリーンからは想像もつかないほど複雑な工程と、クオリティへのこだわりについて伺うことができました。実は、カレッジ生はちょうど動画作品の提出を控えた時期。先輩の品質への努力と苦労、出来上がった『エクスマキナ』のすごさを目の当たりにして、「目が覚めました。自分もがんばります!」という声があちこちであがり、作品制作に対する真摯な姿勢をもつこと、そしてなお一層の努力を誓っていました。
株式会社デジタル・フロンティア
ディレクター 大塚 康弘 氏
1991年東京造形大学デザイン学科卒業。
1996年に株式会社デジタル・フロンティアに入社。CM作品を中心に活動を始めるが、近年はCGディレクターとして、映画、ゲームムービー等、幅広く作品を手がける。
株式会社デジタル・フロンティア
ディレクター 川村 泰 氏
1974年生まれ。大学卒業後(WAOクリエイティブカレッジとWスクール)、株式会社デジタル・フロンティアに入社。CGアニメーターとしてTVアニメ、ゲームムービー、映画等の作品に参加する。 近年は、ディレクターとして活動。主にキャラクター性の高いゲームムービーの制作に携わる。
WAOでは、『エクスマキナ』でも使用されたアプリケーションMayaを用いた授業の見学や無料体験講座を行なっています。興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
CG・映像制作を無料で体験できます。『Maya』の第1回目の授業をそのまま受講できる「公開授業」や「キャラクターアニメーション体験」では、『Maya』を使って、CG制作に挑戦。映画やCMでもお馴染みの実写合成に興味がある方は、「VFX体験」にご参加ください。『Maya』や『AfterEffects』、プロ仕様のブルーバックスタジオを経験できるのと同時に、ものづくりのおもしろさ・奥深さを感じられます。
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「教育のWAO」と呼ばれる私たちの自慢は、何といっても本格的にプロを目指すためのカリキュラムと授業です。ご自身の目で確かめていただくために、 WAOは普段の授業を公開しています。デッサンや造形などのデザインの基礎を身につける授業や、3DCG・映像の制作ソフト『Maya』の基礎から応用までを学ぶ授業など、その時期に開講している授業をそのまま見学できます。WAOの授業の雰囲気を肌で感じてみましょう。
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